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- うちの会社の入っているビルの非常ベルの音は「ぷー、ぷー、ぴよーん、ぴよーん」と擬音語なのにひらがなで書きたくなる間延びした音をしている。おまけに古臭いラジオドラマのような男の録音音声が入る。次に「ジョークでーす」と言ってくるのを待ちかまえてしまう声色を使うのだから困ってしまう。
なぜ、そんなことを知っているかというと、それはもちろん今日火災報知器が鳴ったから。
残業を初めて1時間ほど経過し、程良くまったりとしてきた頃合い。どこからか聞こえてくる電子音に、
「誰だよ、奇妙な音だしてマシン使ってるのは」
「新しいテストマシンでも客先から借りたのか?」
ぐらいに思って顔を見合わせる人たち。廊下で鳴っているようだけど、誰も様子を見に行かない。トラックがバックしているときに鳴らす音をさらにマイルドにしたような音では、仕方ないでしょう。かくいう私も、隣の会社がアヤしい機械でも搬入してんのかと思っていた。そのうち、トイレに立った人が帰ってきて、笑いながら「火事だって〜」と教えてくれる。ドアを開けてみれば「3階で火災が発生しています。慌てずに、落ち着いて避難してください」とアナウンスが入っている。
……廊下にしか聞こえない放送でいいのだろうか。
天然オオカミ少年声は恐ろしく効果を発揮し、誰も本気にしていない。「えー嘘でしょ?」という反応はともかく、「じゃあカップ洗ってきていいかねえ」「タイムカード、あと5分で8時なんだけどなー」などと言ってのんきに帰り支度をする人たちにとっては校内放送同然でしょう。少なくとも「落ち着いて」の部分だけは実行されているわけだ。
相変わらず泰然とプログラミングを続ける人たちもいたが「とりあえずセーブしてマシンの電源切って荷物持って外!」という上司の鶴の一声で、やっと立ち上がる。この時点で最初の警報から15分ほど経過。焼け死んでも文句は言えない。
結局デマだったんだけど、コンパイル中だったりして往生際悪くマシンにかじりつく人たちに避難を促した上司が言った。
「マシン焼けても気にすんな」
いくら嘘臭くても非常事態なんだから、命最優先になるのは当然よね。「ソースさえあれば何とかなる!」
なにーーーっ!?
本日の教訓。葬式で「避難際にCDーRを焼いていて自分も焼けた」という弔辞を回避するためには、バックアップをこまめにとっておかなくてはいけない。
BGM:秋刀魚の歌 <上々颱風3--上々颱風>
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- 本日、天野さんの画集と文庫が出るはずなので本屋へ行った。しかし文庫しかない。情報を見たときからおかしいな〜と思っていたのだけれど、予定は未定というのは出版界では日常茶飯事なので、あっさり詮索をあきらめた。文庫だけ手にして帰路につく。地下鉄に乗って落ち着いた気分で、「さて」と文庫を広げてみたら、そこにあったのは。
「……CG?」
なんだこのフィルムブックのような構成は――ってフィルムブックなのか!? もしかしてビデオが出てるのか? あのNYの個展でお目見えしたというアレか? 私が画集だと思いこんでいた値段の同タイトルのアレはビデオか!
……とか一通りコーフンはしてみたものの、買うかどうかはわからない。ああ、今どこからか「見つけたら買うくせに」というツッコミが聞こえたよ。
- 今、うちのマンションのエレベーターに「管理人室からのお知らせ」という一枚チラシが貼ってある。要約すると「外廊下の窓枠に傘をかけるな」だ。しかしてそのチラシはまず時候の挨拶で始まる。桜は春嵐に散ってしまったけどマンションの前の花壇はまさに今を謳歌し、道行く人にも花の美しいマンションとして知られている、この花に負けないぐらい心も美しく保とう――などと14行に渡る長文をなしている。私が見た感じ原稿用紙2枚以上あるかと思う。しかも段落替えなしなので、3階あたりの人は本題に入る前にエレベーターを降りてしまいそうだ。5階の私も全文読むまで2往復かかった。ほのぼのとした挿話になりそうな印象に騙されそうだけれど、機能というものをこれだけ無視して、ありったけの修飾を施せるというのもある意味すごい文才ではないだろうか。ちなみに、チラシに時候の挨拶がない場合、ご丁寧にも前略で始まります。草々。
BGM:Air <J.S.Bach>
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- メールマガジンを紹介するメールマガジン『ウィークリーまぐまぐ』をなんとなしに流し読みしていたら、新着メルマガに「男子高校生の日記」というものがあった。嬉しいんだかむさいんだか……。しかもタイトルがMy Pure Diaryときたもんだ。購読するのはどんな層だ? (茶化してるわけじゃないっす。純粋に不思議なんです)
- にひらさんが大更新を行っている。見習わなくっちゃー。
- FTPしているAnarchieProがJISしかマトモにアップしてくれないので、HPの書類を逐次SJISからJISに変えているんだけど、ブラウザの文字コードにJISがないのはなぜ? 標準だから?
- 『幸福祈願』読了。ちくま新書の常で早く読めて軽いんだけど、なかなか興味深い。身近な事柄を民俗として学問しているので、「それはちょっと違うんじゃないだろうか」「だいぶ古いな」など、いろいろと物申したいことはあるけど、そいつはいずれ表の読書日記に書こう。ってここは裏じゃないって。
BGM:Believe in Music <EMOTIONAL ENGINE--PSY・S>
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- 浮上〜。健康診断で外に出られる日に天晴れな快晴で、しかも朝、紀伊国屋のBookWebでリコメンドサービス(登録した作者の新刊を教えてくれるサービス。オレはこのためだけに情報料を払っている)をチェックしていたら『双頭の悪魔』文庫が今日発売。2日後だとなぜか思いこんでいたので喜びひとしお。別にすぐ読むわけじゃないんだけど、運がいいぜ! なんて単純なワタクシ。
- 本日の血圧上104、下68。普通じゃん。
- さて、今度は区議会選挙なぞがあります。西麻布で運動してたので多分港区だと思うが、ここにはとても素晴らしい候補者が。その名も真下まさよし。真下クンたらいつのまに警視総監諦めて政界にうって出たのでしょう。ここはポスターにユースケ・サンタマリアを起用するとか(鳩山さんがイメージポスターを貼っていたところを見ると、別に本人の顔写真じゃなくてもいいんだろう)名前だけをでかでかと書くとかしてほしいところ。私だったら入れてしまいかねないなあ。民主主義のクズ自称。でもだって、どうせ守られるかどうかわからん公約に投票するぐらいなら、私はこの名前の人が実現してくれそうな世界を欲している、って意思表示してみたいなー、なんて。
- 眠い。ひたすら眠いので寝かせてください。やんなきゃいけない更新はたまっているんだけど……。
BGM:No Music
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- 鬱い気分だったので仕事進まず。
- MacPowerを立ち読みしたら、使いこなそう!オンラインウェア10選にiCabが入っていた。さすがだ(笑)。現在、改造しないと日本語が表示できないにも関わらず(それでも中途半端)、話題性抜群の Webブラウザ。ちょっとチェックしてるMac屋ならIE5なんかよりずっと動向が気になっているはずだ。私もニュースで見かけた瞬間にぱこっとリンクを押し、ドイツ語だとわかっているにも関わらずダウンロードしたしな。使ってはいないけど応援しているということで。そこはかとなくMacユーザーの心をくすぐるソフトだ。年末には日本語サポートという最後の文に「おっしゃあ!」と握り拳したのは私だけではあるまいて。
- いやな話を聞いた。うちの会社は人を切るのがヘタだ。切るなとはいえないけど、「それはないんじゃないか?」と他の社員に思われるようなやり方でいいのか。そんな人の扱い方をするような管理側には混ざりたくない。しかし、下っ端のままでいたとすると、自分が同じ矛先に立たないとはいえない。今のところ相性が合うと思われていてそれなりに重宝されているようなので、私は首を切られることはないだろうけど、「本人だけを大事にしておけばいいってもんじゃねえんだよ」ってしっぺ返しをくらわせてやりたい衝動に駆られる。あ、ちょっと如夜叉(笑)。
- なんか寝る気がなくなってきた。多分、明日が健康診断だからだろう。午後からだからちょっとはマシな血圧が出るかと思うけど。しかしこの時間(午前3時)まで起きてると寒くて仕方ないわ。暖房器具は片づけちゃったし、仕方ないから布団に入るかー。
BGM:No Music
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- 昨日っつーか本日の午前0時からタイタニックを見た。私はともかく会長はよくまあ午前3時まで起きていられたものだ。で、タイタニック。
……パニック映画ですなあ。もっと脇役にスポット当ててヒューマンドラマに仕立てる方が好みだ。まあ確かに船がまっぷたつにおれるところなんかはスペクタクルですごかったけど。気に入りは白井晃似(笑)の設計技師だ。抑えた演技の中に後悔が滲み出ているところが哀しい。
なんかさー、違う気がするんだよ。別にラブロマンスでもかまわないんだけどさ。1500人が死んだってことについて、人為災害を引き起こした者たちへの憤りや、逆にその人たちの後悔、過ぎてしまった運命を見やったときのどこにもぶつけられない空疎感とか――そういうものが、主人公二人にスポットを当てることで減ってしまってるような気がするのだ。怒りを婚約者に向けさせるようなミスディレクションは、1500の生命に対して不誠実な気分。貴族意識の抜けない母親に反抗する娘だって、同じエゴの塊に見える。徹頭徹尾、実感するのは、上流階級のエゴイズムと男のエゴイズムと恋人同士のエゴイズムと人間のエゴイズムは、全部同じだということ。そして、1500人を踏み越えたロマンスを娯楽にして、今日もどこかで起きてる不条理な生命の略奪を知らずにのうのうと生きてる自分に嫌気がさしてくる。でも制作側にそういう意図がなさそうってあたり、ちぐはぐな出来なんだよ。それとも罪悪感に飲まれちゃう方が少数派?
- そして、今、験直しに「踊る〜」を第1話から見始めてしまった。でも激しく哀しい気分は収まらないまま膨張していく。
- 韓国語に移植するにはどうすればいいかという質問の電話がくる。もういっこヤバい質問があったけど、「それはやめとけ」と言っておく。とりあえず韓国語Kitやフォントを手当たり次第にダウンロード。バカ話をしていたら、少し膨張が落ち着く。でもまだ悶々としているので不貞寝モードに入る。
BGM:Rhythm And Police on TV