外面如菩薩内心如夜叉


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2003/08/09(土)

一日中うつらうつらして過ごしたので、あまり台風を味わえなかった。

「蠅の王」を見た。思っていたよりトロピカルな島だったので、終始画が楽園めいていた。ホラー大好きな友達がコワイと言っていたが、特に怖くはなかった。小説を読んでいるからだろうか。もしくはコワイと言ったのは63年版の方だろうか。豚の頭が小説の描写ほど不気味ではなかったしな。それにこの話は後を思って怖くなる話だから。絵に描いたような美少年がパンツ一丁で走り回っている方が脅威だ。さらに、おまえいくつやねんと訊ねたくなるようなちびっ子が軍隊の幼年学校にいることが脅威だ。

2003/08/08(金)

ロフトでタイムスリップグリコの懐メロ版が売ってたので、3つほど購入してしまいました。「まちぶせ」出ないかなー、と開けると、なんとそれは「まちぶせ」! ……知らない人の。石川ひとみではなく三木聖子という人の「まちぶせ」シークレットでした。普通の!普通のがよかったんだよう。あと1枚もシークレット「恋のブギ・ウギ・トレイン」(アン・ルイス)だった。一体シークレットは何枚あるのか。もう1枚はノーマル「セクシャルバイオレットNo.1」(桑名正博)。ああん、全部知らないよう。学園天国と木綿のハンカチーフがほしい。

で、気がついたら万札がなくなっている。土日の予定が……。

本日購入:『陰摩羅鬼の瑕』1500
2003/08/07(木)

帰ってきて再生したら高校野球が録画されていて超焦りました(結局中止だったらしい)。しばらく1時間余分に録画しなくちゃ。

ぼのぼの新刊が出てます(購入履歴を書かないからこんなとこに)。京極新刊は大々的にカウントダウンしている。今日の「残り1日」のポップはすさまじく大きかった。いつのまに京極はこんなにメジャーになったんだ。そもそも本格ミステリがマイナーだから、どう頑張ってもマイナーメジャーだったのに。世の中ヘンタイだらけだよ。勿論私は今日フライングしてないか見に行ったんですけどね。

本屋って、商品だけで勝負している稀有な商店だ。普通、呼び込みやったり、特売やったり、アドバイスしたり、あの手この手でモノを売ろうとしてくる。それが書店は年中同じディスプレイで、たまにポップが立ったり平積が変わったりするだけ。

「あのー、私先日この本を買ったんですけど、ちょっと丈が足りなかった感じで……そんな私にぴったりの本はありますか?」
「はい、こちらの本はいかがでしょう? 今年夏の新作ですし分厚さに負けない製本も一流、作者は人気急上昇中なんですよ」

なんてやりとりは絶対ない。ちょっとそんな本屋があったら、覗いてみたいが、買わないとは思う。

本日読了:『七度狐』大倉崇裕 創元クライム・クラブ 1700円

いい芸見せてもらいました。落語世界の襲名と幻の創作落語が絡み合って見立て殺人が起こり……というと古めかしいが、語り口は滑らかで、転がるように事件が次々と起こり息もつかせない。テーマは化かすということで、化かされている間はそれに気付かず、ぱっと狐が本性を現してすべてが明らかになる、まったく落語そのままにミステリ構成ができている。そして、この、芸にかける狂気が何とも言えずたまらない。その動機はある意味眩しいと思う。解説も素晴らしい。まさに芸。

本日購入:『続垂里冴子のお見合いと推理』740『第三閲覧室』700『黒いハンカチ』700『$D−魔線抄』495
2003/08/06(水)

「パイレーツ・オブ・カリビアン」を観た。……主役はエリザベス/キーラ・ナイトレイだろう。漢らしいとか勇ましいとかを通り越し、おまえが海賊か!?みたいな総督ご令嬢。プロローグで少年のウィルが漂流しているのを総督の船が拾います。「看病しなさい」と言われた少女のエリザベス。ああなるほど、ここでお礼にメダルをもらって乙女チックな約束をするのね、と思ったら、彼女は意識を失っているウィルの胸元に見つけたメダルの鎖をぶっちぎり手の中へ。盗んだよこの女! 「えっその距離を?」という距離を一人手漕ぎボートで渡りきったりドレスで泳ぎきったり、総督屋敷にアスレチックジムがあっても驚きませんよ私は! さらわれても誰の助けもあてにしない自助努力のご令嬢だったので、見ていて不快ではないんだけども、顔以外は絶対に姫キャラではない。ジョニデは評価高いんだけど、逆にああいうキャラを作っちゃうと、何をやっても意外性がないような。オーランドは評価下げてそうだな。萌えはなかったけど、ちょびっとお父さんがステキだと思いました。
ストーリーもツッコミどころ満載だがそれはわかりきっていたのでマイナスにはしない。でも最後はマイナス。誰一人として心中吐露しない弱音吐かない説教垂れない演説しないで、その辺はまったく私好みではあるんだけれども、あまりにも何もなさすぎという気が。バルボッサ関連でもう少しタメがあればな。脇キャラもいい味なんだが使い方がもったいないというか。あと、カリブで海賊なのに狭苦しく、皆暑苦しい恰好。ジョニデをごしごし洗いたくてしょうがなかった……。
意外なところで、画が面白くて。船バトルとか、見慣れないカメラアングルとか、色々印象的だったんで、そっちの方が収穫でした。

ごはん食べに行ったら、赤レンガが子どもでいっぱいだった。あんなとこ子ども連れで面白いのか?

今、NHKで囲碁の文化っていうのをやっていて、「プロ棋士」という単語が出てくるたびに「プロキシ」に聞こえて振り返ってしまう。

昨日読了:『支那そば館の謎』北森鴻 光文社 1500円

失敗するかもなあ、と思いながら買ったんだが、やっぱり失敗だった……。京都文化を謎ときのキーにしているのはいいんだけれども、人物とか文章とかが苦手だ。人物達の生活がよく見えないので、せっかくの京都文化が豆知識として唐突に現れる感じがするのだ。豆知識自体は面白いけど。むしろはちゃめちゃキャラという設定のムンちゃんが出てきてからの方が読みやすい。ごはんは冬場中心でわりと美味しそうなのだが、それを夏場の人間に食べたいと思わせるほどの力はないかな。

本日読了:『翻訳ミステリー誤訳の事情』直井明 原書房 1700円

「翻訳書でよくわからない部分に出会ったら、自分の頭を疑うより、誤訳ではないかとまず疑ってみよ」と立花隆が書いているそうだが、この本を読むと本当に訳者が全然あてにならないような気がしてくる。その例と原文との比較、原文を読んでない場合も原文の推理、どれも面白いので一気読み。挙がっている例は訳者と作品を故意に伏せてあるのだが、あまり海外ミステリを読まない私でも「これは『ハンニバル』……」とわかったぐらいの有名処の例もあり、全然油断がならない。誤訳ももちろんだけど、面白くないと思っても、訳のせいかもと疑うようにしてみよう。

2003/08/05(火)

今日はホントは通勤帰りの憧れ、熱海に行こうかと思ってたんだけど(でも私は温泉嫌い)、大人しく家におりました。で、こんなものを作ってみたり。

そうは見えないかもしれないが、白パンです。なんか途中で「分量間違ったか……?」という感じだったので、イーストは増やしたが調味料はそのままにしてしまったので、一応ふわふわだけど味が全然ありません。バターで焼いてハムでも挟んで食うか。

「F.I.S.H.」を見た。友達にあげるために買ったんだけど、せっかくだから見てから送ろうかと思って。内容云々以前に、画像悪すぎ。3倍ビデオかよ!という具合に色が流れている。内容は「ちょびっツ」ミニバージョンて感じで(でも年代的にはこっちの方が先のようだ)、筋はどうでもよいのだろうと思われるが、そのわりには女の子可愛くないし、たいしてアダルトでもないぞ……。

「レッド・ドラゴン」の特典を見た。メイキングの素のサーは吸血鬼かと思いました。絶対3000年は生きてるって感じがステキです。んでポワロの特典も見ました。全開笑顔のスーシェさんがかわいい。あたりまえだが喋りが全然違うヨ!

今度NHK-BSでディズニー実写映画特集をやるようで、地上波でもいろいろと予告がかかっているのだが、そのシンデレラの映像は、姫も王子も黒人だ。それは間違っているだろう。桃太郎がイラン人だったら変だろう?

ひょっこりひょうたん島(復刻版)のDVDが出るー! おっしゃその調子でいけー!

2003/08/04(月)

夏休みなので、ちょっと金沢八景まで行ってきました。自転車で。

いや、マリンタワーでレンタサイクルしているのを最近知ったんですよ。しかも8時間借りても900円という。よし、ここはいっちょ借りてどっか南へ! 江ノ島に猫ナンパ……も考えたけれどもおそらくそれは時間的に無理。で、「そうだ、コアラ見たことないから見に行こう!」と。

朝10時出発。10分ほど走った時点で「もうやめようか」と考えたぐらい体力の衰えをイヤでも感じたが、それを過ぎると快調。人のいない住宅地のさびれた飯屋とか、工業団地の雑草とか、そんな風景大好き。ホントは動物公園だと16号線に乗る方がいいんだけども、せっかく夏だし海だ海ー、とまず八景島を目指す。1時間45分で到着。ジュース飲みながらぶらっとして、ワンニャンパークとやらで仔猫とたわむれて幸せを感じた後(おまえはいったい何しにシーパラへ。)、目指せ動物公園! と足を踏み出した私の前に立ちはだかったのは、てっぺんが見えない急勾配。死ぬかと思いました。息詰まらせながらそれでも登り切る。これもコアラと対面のため。
しかしゾンビな私を待っていたのは「休園」の二文字。

月曜日……!!!

燃え尽きてしまいました。まさにもう文字通り。さらに死にそうになりながら下山し、ミニストップでハロハロ杏仁を食べて生き返る。くそう、せっかく足があるんだ、ホームセンターで重い買い物をしていってやる、と、最後には目的が違ってしまいました。

と、書くと楽そうだな……。実際は水3本カルピス1杯を消費し、さすがの私も汗をかいて(でもじんわりとだけ。体質的に流れない)埃だらけ。帰ってきたのは4時半ぐらい。すごい酔狂っぷりでした。途中ミニストップで見た鏡で「うわあ、顔真っ白」と自分でびびったぐらい日焼け止めを塗っていったせいか、この夏いちばんの天気にも関わらず、ほとんど焼けていないようです。一応日焼け手入れの化粧水とか山ほど買ってきたけどそこまでしなくても大丈夫そう。今日は体中インドメタシンだらけにして早々に寝ます。なんか腰痛いの治ってるけど。

2003/08/03(日)

これが最後とDVD屋に行って、完売目前の棚を見ていたら、店長さんに「あの、これ、最後なんで差し上げます」とポワロBOXコンプリの特典映像ディスクをもらってしまった。「BOX1買ってらっしゃいましたよね。売るわけにもいかないので」「ありがとうございます!」と喜色満面で受け取りつつ、自分が買った物を覚えていてくれるぐらい顔馴染みになれるこんなステキな店はもう金輪際ないだろう……とさみしさが募り、かつ、自分の消費行動を反省しました。

裏表紙の髭のないスーシェさん、かっこいー(うっとり)。

朝までに本を片付けたところ、座り仕事のために痛くなってる腰がさらに痛くてたまらなくなったので、薬局に行って薬剤師さんに湿布薬を選んでもらった。「ホントに痛いようなら飲み薬飲んだ方がいいですよー」と言われた。そんなものがあるとは全然知らなかった! 高かったけど、ちょっと買ってみました。飲んだ後数時間、確かに痛みがゆるむ気がする。

7/29読了:『大洪水伝説』リチャード。カウパー/久保智洋訳 サンリオSF文庫 460円(いただきもの)

まさかここに「サンリオSF文庫」などと書く日が来ようとは! 憧れの文庫でした。内容は、未来、大部分が水没したイギリスは中世のようで……ってどっかで聞いたような設定だ。黙示録3174年がそんな感じの設定ではなかったか。ちょうどそういう未来観が流行っていたのだろうか。並行で現代(といっても四半世紀前)の科学者たちの話が語られ、意識のタイムトラベルが観測されるが――。が。未来に意識がふっとんでしまった男の視点がないため、感情移入しにくい。洪水の危機とか、未来での憑依者の宗教的葛藤や恋とか、いくらでも盛り上げて書けように、ストイックなプロットだ。日本語は読みにくくないが訳はよくないらしい。でも、この筋ならよっぽどうまく間<ま>をとらないと、じんわり……とはきにくい、非常にもったいない話だった。

7/31読了:『犬神家の一族』横溝正史 角川文庫 667円

すみません、まだ横溝先生を侮っていました。超本格じゃないか……! 「この時代にこのアリバイトリックをやられてはそれは読者は幻惑されるだろう」とひたすら感心しました。バレエとかフィギュアとか「基礎をしっかりやれ」と言うようなマンガがあるじゃないですか。で、芸術的に新しいものがないプログラムを見せられた観客はざわめくのだが、識者にはそれがすごい基礎を持っていることがわかり違う理由でざわめく、っていうような。まさにそんな印象を受けました。どんなにおどろおどろしいかと思えばそんなことない、ちゃんと生活している感じがするし。密度の濃い一冊でした。

8/2読了:『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン/小尾芙佐訳 早川書房 1700円

帯のアオリとかとてもイヤだったのですが、訳者買い。自閉症の少年の一人称で話は進む。小尾さんは特別な言語を喋る人の話を訳させたら日本一だと私は思っています。まるで大感動長編みたいにあおってあるが、これはそういう話ではない。最初の語りに面食らいつつ読み進めていくと、なんだ、自分たちと全然変わらないじゃないか、ということに気付くようになっているところに地味に感動するのだと思う。彼はコミュニケーションの層が一つ足らないだけ。根っこは一緒。お父さんやお母さんの葛藤や後悔も、少年の視点で淡々と描写されるが、しっかり伝わってくる。児童書扱いだが、むしろ表層自我が肥大してしまっている大人が読みたい。


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