2000/08/19(土) |
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- 遡って日記を書く女。
- 先週の土曜日は横浜美術館に中国文明展を見に行った。中国好きなオレにして滅多に見ないものばかりでたいへんおもしろかったです。それはおいといて。知ってた? 横浜美術館は高校生以下の入場料がタダなんだよ!! 特設展なのにタダ! バス代は夏休み中は小学生以下50円だし。その分大人が払っているんだから、是非行け小中学生!
- 旧Macが友達の家にもらわれていった。「ふつつか者ですがよろしくお願いします」というスタートアップスクリーンでも入れておけばよかった。
- 油断していたら、大台までカウンタがあと2000切ってる……大台でリニューアルが目標なのに残り約10日の読み。やべえ。って一生懸命この2日ほど作業してるけど、内容よりも色とかに試行錯誤してしまうのはイケナイ傾向ですな。
- 実家で見た新聞広告で21日ってなってたから油断した!! ドクターと創竜伝の新刊がすでに在庫ありになっている! くそっ、明日は久々に(まじ)おでかけだー。
2000/08/18(金) |
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- 実家から帰ってきました。二日前に。二日も何していたかというと、更新しないと〜メールの返事書かないと〜と思いつつ、本を読んだりゲームしたりで忙しかったのです。というのは半分ぐらい嘘。体調崩したのと、如夜叉書いてる途中で二度も落ちたのでふてくされて別事をやっていたのだった。
- 今回の帰省は明確に目的があったわけっす。すなわち
「阿弖流為戦地巡り」
気分的には阿弖流為と一緒に死ねなかった母礼。会えないのなら匂いだけでもいいから、って感じ?(スミマセン、母礼はそういう人ではないです)。要するに、どうせたいした遺跡はなかろうが同じ場所に立ってみたいというだけの、免許持ってない人間のくせに胆沢の平野より果てしなき野望。で、父親に運転してもらってまずは胆沢城跡へ。これは史実的には田村麻呂が築いた城で、小説的には阿弖流為がそこに柵を築いた後に田村麻呂が入ってきた場所。目印の柱は立ってるけど、見事に何もない。立て札まで赤錆に埋もれている。政庁跡などゲートボール場と化している。ちょっと歴史を窺わせるものは、周囲の家の少なさに較べると立派すぎるほどの神社のみ。が、静か。人の姿が見えない。自分たちが食べるための田畑。鎮守の森の陰には、咲き遅れのあじさい。円状に並べられた石は何の意味があるのか、誰も知らないんじゃないだろうか。胡桃がなってる。真夏の日差しが眩しい。橙色の花が咲いてる。なんか、蝦夷が望んだ楽園というのはこういうものだったのではなかろうか、と思って悦に入る。ホント、幸せな奴だよ>オレ。
次はすぐ近くの水沢埋蔵文化財調査センターへ行く。水沢市は阿弖流為を英雄としようとキャンペーンはってる自治体。お盆なのでどうかと思ったが、開館していた。阿弖流為没後1200年の幟が立っている。はっきりいって、こんなところにぽつんと建っているのが不思議なぐらい建物キレイだ。中では大画面で阿弖流為の功績や戦果を見直すビデオ上映をしていた。えへ。閲覧専用になっていた阿弖流為通信がほしかったが、ナンバーが80超えていたので、「いったいどういうペースで出ているんだろう」とおののいて尋ねないでおいてしまった。本買ったら昔のパンフくれたり、案内係の方にとてもよくしていただきました。今思えば、たとえミーハー根性丸出しでもいいから、「『火怨』を読んで、蝦夷になりたかったんです〜」と言えなかったのが悔やまれる。
胆沢あたりも回ってみたけど、阿弖流為については特に言及なし。のどかな田園をドライブし、一路束稲山へと向かう。ここは、史実では特に問題とはしていないが、小説では砦を作って阿弖流為がこもった山。さすがに眺めは最高です。北上川が丸見え。なるほど、ここに立てば対岸の兵の動きは手に取るようにわかるわな、と納得。険しい山の木々を見ながら下りに入るとすぐに、右手に何か小さな小屋のようなものが見えた。最初は百葉箱か砂箱みたいな、何か実用のものだと思った。
背中がぞくりとした。今も、見守っているのか。看板も目印もなく、ただ、蝦夷を見守って、おまえはここにいたのか。
もうすっかり母礼入ったまま、平泉からも束稲山と北上川、胆沢あたりを眺め、達谷窟毘沙門堂に行く。ここはそもそも田村麻呂将軍が悪路王(阿弖流為の伝説上の悪い別名のようなものね)の本拠地に建てたとされる寺。おもしろいです。この地方を見直そう、蝦夷の誇りを再発見、みたいな時勢にあって、ばりばりに悪路王=悪、田村麻呂=善、を貫いて恥じない。パンフ見てると別当さんがとても真面目な方だとわかるけど、「絶対この縁起(由来)は書き換えない。これは史実ではなく信仰だ」というような立て看板もあって、なんか、綿々と続く内部対立を見たような思い。
と、非常に満足の行く足取りを追う旅でした。束稲山が最高でした。何でしょう、あれ。調べてもわからないんだよ。にしても、最後に行った厳美渓と平泉以外は、もうぜんっぜん人がいない。車はいくらか走っていても、外を人間が歩いていない。すげーマイナーな観光だった。でも、それ以上に、真夏の日中は出歩かん!という田園の知恵を実践しているのだろう、と思う。
- その次の日は泉ヶ岳に行きました。スキー場のリフトを登ると、遙か彼方に海まで見える。周りは青く険しい山! これが東北の山だ〜と感動した。なんて贅沢な眺めだろう。緑しかない。緑しかないことの贅沢。
- でも、こっち帰ってきてちょっとほっとしたよ。なんか気分的には軟禁されているようだった。自分ノ足デハドコニモ出掛ケラレナイ。事実はそういうわけじゃないけど、気分ね。
- 「ぼくのなつやすみ」を自前で行くような夏休みを過ごしたかもしれない。でもねー、わかったんだー、あのソフトの違和感が。緑は背景じゃない。思い出せば、仙台萩の絹のような葉っぱの手触りが楽しくて、歩きながらちぎったりしてた。あかまんまとか、にせレンゲとか、野いちごとか、小さな色彩を見つけて。枯れた笹がストローみたいに敷き詰められた地面を歩くの。秋にはどんぐり拾って、青いイガグリを踏んで幼い栗を取り出したり。そういうふうに、ちゃんと、森や藪の中を歩いてた。虫を捕る人じゃなくて、自分が虫みたいなもんだった。それが自分の幼い頃だというのが、不思議。
- オチ。実家にて、カナダ土産を渡される。
「こっちがセーター。これがおばさんが持ってきてくれたムーミンの景品。で、これがカナダで買ったムーミン」
「これはヒポポタマスだー!」実家滞在中購入:『帝国書院最新基本地図』『水沢・江刺都市地図』『えみしとは誰か』『銀河鉄道の夜』『陛下』『$どきばくアニマル・3』『$電脳なをさん・3』