11月の読書日記

mteraが11月に読んだ本。

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『マサチューセッツ工科大学』 フレッド・パグウッド 新潮文庫
技術系にとっては永遠の憧れMIT。その歩みを技術者主体のエピソードで綴る。や
はりヲタクの殿堂の匂いがする。鉄道マニア(外国にもいるのか〜)がその趣味のた
めに使いたいからコンピュータプログラムに精通しひいては管理者になるとか、迷路
を抜けるロボットの意義とか、部外者には何が面白いかわからないジョークとか。私
のような人間にはそこが憧れだけど逆の人もいるだろう。訳が無愛想。(11/04)

『琥珀の城の殺人』 篠田真由美 講談社文庫
絶版文庫化なのに部数少なすぎ! デビュー当時から「動機を突きとめる」のが好き
だったとわかる一冊。すでに傾向出てるので建築探偵好きな人に。探偵役プレラは私
の頭の中ではケチな詐欺師なのだけど、上品な物腰はまるで正反対。本編よりもその
過去の方が気になるので、プレラの史実の脚色出すなら大歓迎です。ちなみにプレラ
ッツィは青髭ジル・ド・レをそそのかした男。普通知らないな(^_^;。(11/07)

『ゴースト・トラップ』 ナンシー・A・コリンズ ハヤカワ文庫FT
「アメリカのロボットが出る話って必ず『創造主を踏み越える』話になるんだよな」
と昔考えていたことを思い出した。これは吸血鬼だけど、お国柄でしょうね。生みの
親を殺しに幽霊屋敷に足を踏み入れたソーニャの運命は! すでに何でもありです。
ハヤカワ文庫SFで硬派っぽい表紙だから騙されるけど(^_^;、軽く読み流して、テン
ポを楽しむべき。ラストはなかなかカッコいい。(11/11)

『電脳天使3・4』 彩院忍 ソノラマ文庫
3巻のラストはたとえていうなら、「1万円札をトイレットペーパーに使う」のを見
る感じ。頭ってのは確かに急所だけど、と不本意に思うことの違和感が今回の収穫。
大人になることの条件を、キタないけどどうしようもない側面に重点を置いて描いた
けっこう珍しいジュブナイルになった。上で書いたアメリカ的という感じそのまま。
私は実はラストがむっちゃ不満です。安定なんて(笑)。(11/13,14)

『屍鬼(上・下)』 小野不由美 新潮社
ネタも割れていれば展開も明らか、ラストも読めている、なのにどうしてミステリに
分類されるんだか(笑)。端々が心にひっかかるけど、「面白かった?」と尋かれる
と返答に困る。「敏夫の行動原理に納得」「夏野の焦燥感わかる」と言葉が妙に冷静
になるのは、私は村に招かれなかったせいだろう。部外者で事件を見ていた感じで、
距離感がある。最初の車の男、私はTだと思うな。(11/22)

『黒いチューリップ』 アレクサンドル・デュマ 創元推理文庫
いつ覆面ヒーローが出てくるかと期待していたのに、主人公は牢屋で園芸で終わった
よ(笑)。タイトルに偽りなしなんだけど、テレビとかに植え付けられた私の思いこ
みはチューリップより育っていました。しかし、「私よりチューリップの方が大事な
んでしょう」――笑えません。しかも責められたベルル、反省するも一瞬後には花の
ことで頭がいっぱい。ああ、どっかで見たことある人種だよ(^_^;。(11/27)

『魔界都市ブルース6<童夢の章>』 菊地秀行 祥伝社ノベルス
ベタだ(^_^;。老人が活躍する前半は菊地パターンではわりと定番なので、アオリの
わりに肩すかしくらった感じだけど、せつらを「パパ」と呼ぶ赤ん坊が出てくる後半
は、「いいのかよ」と思うぐらいまー期待通りなネタ。ドクターは意外と親バカくさ
いとか、屍さんのバックレぶりには参ったとか。事件そっちのけでしたわよ。ああ、
どうせなら、人形娘に「……不潔」と言わせてみたかった(^_^;。(11/29)


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