2002年3月の読書日記
『魔香録』
菊地秀行
祥伝社ノンノベル
819円
……? ふゆはるってドマちゃんみたいと思った記憶があるんだが……それでいくと今回は別人。未消化ネタが多すぎるなあ。秋家は医者が嫌いな家系なんですか?
(03/05)
『タイムスリップ森鴎外』』
鯨統一郎
講談社ノベルス
780円
買うときもハズレの匂いがぷんぷんしていたんだが、もう鯨買うのやめよう〜と決意させた一冊。なんかなあ。鴎外があまりにも万能で。こういう荒唐無稽さは好きじゃないのです。
(03/09)
『ロシア異界幻想』
栗原成郎
岩波新書
700円
ロシアのフォークロア本。フォークロアと聞いてどんな本か予想がつく人は、それで正しいと思います。どの部分がロシアらしさなのか?とかいう疑問には答えてくれません。採取がフォークロア学だから。予備知識のない人間を置き去りにして説明は進むのだけど、資料部分を読んでいるだけで楽しい。
(03/14)
『六枚のとんかつ』
蘇部健一
講談社ノベルス
714円
バカミスといいうのは聞いていたが、なんとなし買ってしまった。ホントにバカミス……。でも許せる気がするのは形式もバカミスで、短編連作だからかな。これがコズミック並だにもったいぶっていたりすると怒ると思うけど、一発ネタとしてはありかなと。
(03/15)
『3000年の密室』
柄刀一
光文社文庫
629円
昔の密室の方については、実は最初になんとなし思ったことと似たような解決だったので「えっ、それは検討されていなかったのか!」と心底意外に思ったのですが。この人の書く話は骨っぽくて(いやシャレでなく)いいです。結構犯人像も好きです。直接描かれていない部分の心理にちょっと切なくなった。あまり本格っぽくない物語性が好きです。
(03/19)
『指輪物語 旅の仲間・上1』
J.R.R.トールキン/瀬田貞二・田中明子訳
評論社文庫
700円
とっつきにくいイメージがあったのだけれども、全然。話はさくさくと主筋を進んでいくし、映画と較べるのもどうかと思うが、映画ではよくわかんなかったホビットの性格分けも明解だ。もっと食事の献立とか様子とかのディティールが細かく書き込んであるのかと思っていたけれど、小道具描写は拍子抜けするほどあっさり。ここまで漠然とした読者の想像に負うところの多いファンタジー世界で、かなり話も違ってて、いったい何をして「イメージ通り」と映画を評しているのかわからない。あまり違うメディア同士を較べるのは好きではないのですが、小説の方がおもしろいと私は思います。
(03/23)
『聯愁殺』
西澤保彦
原書房
1700円
ひさびさに西澤仕事の真骨頂。読み終えて満足感。どの事実が5W1Hどれにあてはまるのかという根本から幻惑する設定、じわじわと沸騰していく狂気、うまい飯と酒。ないのは笑いぐらいかな? 冷静に読んでいれば結構わかるんじゃないかとは思うんだけど、登場人物らが吐くロジックとそれに対するツッコミだけでわりと頭がいっぱいになって。どうもあの人が隠していることが多いみたいな、彼女はあの人じゃないか、というところまでは読めたんだけども、キレイにそれが着地したときは拍手でしたね。しかし実は最大のオチは最終ページにある原書房註「装幀に使用した絵の著作権者の方連絡請う」という内容かもしれない。そんなことしていいのか。
(03/25)
『垂里冴子のお見合いと推理』
山口雅也
講談社文庫
514円
冴子さんは何を考えてお見合いをしているのだろう?ということが最も謎です。結婚願望がありそうにも見えないキャラクター。おばさんの顔を立てるためとかいろんな人に会ってみたいとか言ってしまったらそれだけだけども、それではつまらないのでいろいろ裏を想像してみたり。ミステリ部分よりも設定の方を知りたくて続きを追ってしまいそうな本です。ミステリは、心底悪い人とか出てなくて気分は悪くないけど、見合いなのに日常の謎ではなく死にネタなのかと最初違和感を覚えました。
(03/26)
『怪盗クイーンはサーカスがお好き』
はやみねかおる
講談社青い鳥文庫
620円
最初買わないでおこうかと思っていたんだが、店頭で見てなんとなく……。したら、夢水より好みだった。児童書におさめるには無理なトリック至上主義とかなくて、楽しく!に徹しているところがいいです。そう、サーカスのような。刑事さんたちも夢水のときより人間味にあふれている気がする。皆さん生き生きと動いています。で、理由を考えたんだが、この人は三人称で書いた方がいいのではないか。中の章も混ざっているけど、三人称のところの方がおもしろいような。
(03/26)
『指輪物語 旅の仲間・上2』
J.R.R.トールキン/瀬田貞二・田中明子訳
評論社文庫
700円
助けに来て道案内をするエルフが女じゃない……!ととっても驚いてしまいました。馳夫さんがなんだか紳士的なことにも驚いたし。毒エピソードはちょっとのんびりすぎて緊張感がない。やっぱり映画先に見るといろいろと。映画ではしょられたトムは楽しいキャラクターですね。どうやって川の乙女と結婚したのか訊ねたい。しかし、ここまでで2巻を費やして、映画の残り部分をあと2巻で終わらせるのか。しかもまだサルマンvsガンダルフの説明も出てきていないというのは配分がとてもアンバランスではないですかね? どうなるんだろう。
(03/29)