2002年1月の読書日記
『D−邪神砦』
菊地秀行
ソノラマ文庫
476円
出てくる神さまは、邪神という言葉で思い出す神さまで正しいらしい。あまり存在感なかったですが。このネタで+Dで1冊で終わったのが不思議なぐらいです。老夫婦が現代日本にもいる夫婦を思い描いているのでしょうね。やるせないです。
(01/02)
『しゃばけ』
畠中恵
新潮社
1500円
『百鬼夜行抄』! 時代こそ違うものの、似てる。頼りにならないが、芯の通っている若だんなは、性格的にどっか若年寄。2世代上の残した妖が身を守るように人がたで側仕えしている。はっきりいって身を守ること以外のいうことはきかない。普段は若だんな立場弱い。他にも背景で妖怪が見えたりピーチクパーチク騒いでたり。それが元で事件に巻き込まれたり。「とぼけた味わいと愛嬌がある」と帯にあったので、評も読んでみたんだけど、いやこの風景は見知っているよ、みたいな。なんか濃淡が似ているというか。両方読むとわかると思うが。知らないかもしれない、が、この人のプロフィールを読むと、現在の職業が漫画家。……。これをそっくりというかどうかは人によるのかもしれないし、うまいとは思う。だけど、だけど、言わせてもらえば、これはズルい。でもまあおもしろかった(をい)。
(01/04)
『科学捜査の事件簿』
瀬田季茂
中央公論新書
780円
指紋とか銃器鑑定とか身元確認とか、犯罪科学についてひとわたり説明。黎明期と飛躍のあたりにあった事件を中心にして例示している。最新の技術中心とか、専門的な話中心とかではないので、素人にもわかりやすい。わかりやすいといえばわかりやすい構成だが、焦点はぼけ気味。事件簿というタイトルには合致している。目新しくもないが新書らしいお手頃な本。
『漢字と日本人』
高島俊男
文春新書
720円
この著者の普段の職業はなんだろう。文章が大学の講義口調で超読みにくい……。きいてわかりやすい話と読んでわかりやすい話は違うと思います。本人確信犯ぽいですが。内容は、外国の文字である漢字を取り入れてさらに外来語を表記するようになってしまった日本語は、文字が先にありきな言語になってしまっている、もうこれは仕方がないことなので、それを腐れ縁と享受してどううまくつき合っていったらよいか、というおもしろいことが書いてあるんですが。実はこの本を絶賛している素人書評も読んだのですが、確かに、日本語の歴史、成り立ちを書いていて、啓蒙的である。話し言葉で書いているため、啓蒙という印象からはかけはなれた親しみやすさがある。でもこの断定口調・責め口調はかえって私にはその論を受け入れにくくしている。人を選びますね。
(01/06)
『Jの神話』
乾くるみ
講談社ノベルス
900円
とんでも展開と聞いていたが、ミステリ調ではじまりホラー的展開とラスト。そうたいした転換ではない。よくある。でもトンデモと言われる所以は、きっと、やったことのない私でも「これはエロゲか!?」と思うような設定、後半の展開。視点を別の人物に変えたら、もうエロゲなのでは。でもアイデアとしては結構おもしろいと思ったよ。どっちかというとSFの分野だね。
(01/12)
『Q.E.D. 式の密室』
高田崇史
講談社ノベルス
700円
Q.E.D.シリーズを読んでる人なら知ってそうなことをネタにしている。安倍晴明は今情報過剰だから、たいがいの説は最初で看破されちゃうぞ。どうもこのメフィスト賞作家による密室テーマ競作のために、急いで書いた?というような構成とネタ。薄いし。まーインターバルってとこかな。袋とじって、全体が袋とじじゃなんの意味もないと思うんですが、どうですか?
(01/17)
『死んでも治らない』
若竹七海
光文社カッパノベルス
800円
毒を強めに出したオムニバス。大道寺さんは運がいいのか悪いのか。若竹さんはうまくなっているのが如実にわかる作家だと思います。今回は、ときどき奇を衒いすぎた感があるけれども、コンパクトながら薄すぎることもなくまとまっている。けれども、あまりに運が大道寺さんに集まりすぎるのと、本編で隠され最後の事件で開かされる事柄が推測しやすいのが弱いですかね?
(01/31)