それを見て感動できるとはもう類友カップルになるしかないだろう、奈々さん。という感じだ。百人一首の謎を解く、というのは惹かれるが、さてこの話を実際に淡々と聞いて飽きないでいられるかどうかはまた別だ。私は古典・詩句苦手の人だったしね。ふっとばして読んだので、わくわく感を半分も味わってないのかもしれない。百人一首とミステリのつながりは無理なくていいと思う。ちょっと詰め込みすぎって気もするが。(10/01)
百人一首よりわかりやすかった! 誰もが不気味と思ったことが一度はある七福神の謎と六歌仙と絡めて、それに殺人事件も繋げて、破綻していないのはすごいです。これだけ込み入った内容をわかりやすく説明できるのはかなりなものでしょう。飽きそうな議論は事件の流れの方と交互に出したりして、分散させるようにしてるし。謎自体もわくわくします。このわくわくが好きで読んでます。奈々のことを笑えません。(10/02)
いまさら気付いたけど、このシリーズは「ダイイング・メッセージ」を解くシリーズでもあるんですね。うってかわってこちらはそれなりに知識がある分野。とっつきやすいです。目次を見た時点でニヤリとしてしまいます。惨殺、なんて背表紙には書いてあるけど、昨今の傾向から見たら可愛いものです。ホームズが前期と後期では人が違っているように性質が違う、というのはよくある命題だけど、この説も楽しくていいですね。遊びの論理は少々飛躍がある方が面白いし、その方がワトスンの気持ちを慮るにもぐっとくるものがあるしね。(10/02)
ミステリ部分がちょっと荒いかな〜という気がしないでもない。でもいつのまにやら崇のファンになってしまっているようなので、蘊蓄を聞いているだけでわりと幸せ。どこか京介とイメージがダブるので、いつも不機嫌とか無愛想とかそういうイメージがつきまとうが、意外と表情が豊かだし奈々にも優しいところがグー。絵に関してももっと謎があるかと思ったわ。 (10/04)
ホントにセンチメンタルだ。このセンチメンタルっぷりが、読む時期を選ばせるので、ずいぶん積読してしまった。語り口や描写が高校生〜大学生にしては古いと思う。蒼が語り手のときはそれでもいいんだが、一般高校生の翳が語ると時代錯誤感。私は実は大人になった蒼のことが好きじゃないので、横っ面はり倒したくなるときも。もどかしくてたまりません。あいかわらず、ミステリではない。なんていうか、WHに移ってもよさそうなノリ。(10/06)
えっ、深春ってヴェネツィアきたっけ? なんて言ってるようでは京介の気持ちはわかりませんね。物語は、深春が登場してからがおもしろい、作者があとがきで自分で書いているように。久々にちゃんとミステリっぽくなっている。建築はあまり関係なく、精神医学。それも虐待関係のちょっと前の流行なので、それを知っていると犯人の不自然さは歴然としているという。それでも、京介の最後の方に茉莉に言った言葉とか、共感するところも多く、楽しめた。蒼編が一段落してるで、これから京介編なのかなー。(10/11)
ロードムービーというのか何というのか。ありがちなんだけど今風で楽しい。軽さの中に、どーしよーもないものがあるっていうか。この人はやはりこういう小説がうまいっすよね。(10/12)
なんか西澤らしくないような。論戦が繰り返されるところなどはそれらしいんだけど、どうも殺人事件の処理の仕方が腑に落ちない。これは『7回死んだ男』の同工異曲の作品だから、その7回のくだりが省略されたとでも考えればすっと入ってくるのだけれど。さらに、『依存』後の結論がこのエピソードだとすると、安心できる。その意味でこれは、西澤を追っている人以外にはどうにも食い足りない印象の残る作品ではないかと。さらにいうと、ちょっとおじさんに都合良すぎのエピソードもバランス悪いね。(10/15)
このタイトルはどうにかならんものか。話の筋はありがちなとこと強引なとこといい加減なとこがあってちょっとムリムリなんだけど、詐欺の仕方とか女の子を礼賛しているところとか着飾り方とかそういうディティールを楽しむべき感じ。(10/16)
胃痛を起こしながら電車で読んでました。電車で読む行為に吐き気を起こしつつ、内容に生クリームが出てこようがバターが出てこようが平気なので私ってすごい頭身分離なんだなと思ったよ。想像力が足りないのでないといいけど。洋菓子と菓子メーカーの歴史がおもしろい。今現在、わりと軽視されているコロンバンとかの洋菓子店が古い歴史を持っているのだと改めて知る。意外とケーキそのものに対する蘊蓄は少ないです。(10/17)
おやじくさい余談を除けば、まあまあおもしろい。マラリアって暑いところの病気かと思っていたら、ローマにもあったのですね。年表とか統計とか出ているわけじゃないので、読みやすいし、純粋に死因は何だろうとかいう興味を満たしてくれます。ただ、似たような名前・病歴が出てきてなかなか個々の顔までは想起できません。それにしても、なんか余談部分が妙にセクハラっぽくて気になる。そこだけ理屈じゃなく生理的になんかヤだ。(10/19)
十二国記短編集。タイトルの根拠の作品、タイトルの雰囲気と内容の雰囲気があってなくないか。こんなにもはかないイメージではないような。間違うにしても、正しい道をゆくにしても、どちらも力強い。(10/20)
荒唐無稽。無理しないで『邪馬台国〜』のときみたく、バーで語るとか一幕物にすればいいのに。鬼の正体に対する説はとってもおもしろいんだけど、警察の捜査とか登場人物の心理とかが嘘臭い。だいたい無条件に信じられる天才とか権威なんかファンタジーでしか認めないよ、オレは。主人公、こんな警察官では治安が不安です。(10/22)
おもしろかった! 日常謎解き連作短編集。無理のない謎と無理のない解決、しかも解決すると爽やかな答が待っている、ってのがいいです。登場人物もそれぞれ個性が立っていながら、ちゃんと生活してる地に足のついた人たちだし。助産婦さんというあまり馴染みのない職業をうまく題材にしている。自宅出産の啓蒙にもなっていながら病院出産を否定するでもなし。うん、いい読後感です。(10/24)
「噂の密室」という前書きだけで、「あれかあれかなあ」と思って当たった私は自覚より本格ミステリ解説を読んでいるようだ。ていうか有栖川さんの密室大図鑑を読んでしまっているからかもしれないが。列車トリックは苦手なので、半分はちょっと辛かった。トップ『埋もれた殺意』がいちばん巧いと思ったので、アンソロジーの編み方としては正しいかも。でもやっぱり、ミステリみたいな小説って同時代性があった方が(少なくとも文章的に古くさいと思わせないような)楽しいのは私だけなんですか?(10/29)
吸血鬼の村っていう設定の説明でページを使い切っている感じがする。たとえるなら、キャラ説明から舞台説明もおまけに基本的な用語説明も全部やってるチョーモンインシリーズを400円文庫に収めた、ってところでしょうか。無理。もー少し長く使えたらよかったのに、というネタだなあ。もったいない。(10/30)
ゲログロなんだろうなあ、と予想して買ったらやっぱりその通り。思ったよりグロくなかったぐらいかも。意外なほどミステリ仕立てになっている。無理矢理吸血鬼を持ち込んだ感がしないでもない。でも、吸血鬼、という字面で騙された部分があるのでそれでいいのかな。(10/30)
吸血鬼競作ラスト。さてそれはどうかなあ。知ってたらそういう行動に出たかどうかはまた別の問題じゃないかしら。なんていうか、吸血鬼萌えな人を現実に落とす結末ではありますね。それでも私は吸血鬼サイドでもいいなあと思ってしまいます。ダメ人間。(10/30)