知らない本と、知らない曲ばかり。無理にミステリに関連づけなくてもいいんじゃないかと思うような内容も結構あったね。どうせなら音楽自体が謎解きの重大なキーになっているミステリの話も読みたいと思ったけど、ここにはそういうのはないみたい。残念。(12/01)
意外とあっさり収束されてしまった。アトランティスの秘宝は結局何だったのでしょう。魔震に煮ているような気もするけれど。2冊でこのボリュームなら、また書き下ろしとかで夜叉姫ぐらいのスケールの話を望んでしまう、贅沢なそして慣れやすい読者であった。(12/02)
なるほど、メッセージ性にすぐれていて、読み終えた後、戦争について何も知らない自分を恥じる気持ち、いい加減に生きている自分を恥じる気持ちを自然に覚えていることだろう。終わりの決め方はかっこいいと思います。SF的設定を用いているけど、これはSFの範疇ではないと思う。途中でまるで本格のように殺人事件を宣言するところもあるけど、そういうのも余分な感じがする。というか本格読みにはこの形式を踏襲されてその後全然謎解き展開をしないのはとても気持ちが悪い。奇をてらわない文章を書く人だよな。読みやすい文章だけど、生意気を恥じない主人公の姿に苛々させられる最初の方は、投げ出したくなるほどでした。(12/06)
裏のあらすじを見ると解決策が奇抜なように書いてあるが、実際奇抜なのは別の仕掛けの方だろう。すっかり騙されました。キレイにハッピーエンドというか、結構出来事というものの本質を物語っている気がする。最初から、みんながそういうふうに正直にふるまっておけば何も問題は起こらなかったのに、ねえ。(12/07)
これもすっかり騙された。陰惨な無差別殺人的流れでありながら、オチがほのぼのしていて好きだなあ。西澤キャラはのほほんとしていながら、突然口説きモードに入るときっぱりしているところも何だかカッコいい。このネタは西澤保彦がやるから本格になる。たとえば三谷とかがやったら一幕喜劇になるんだろうな〜なんていろいろ料理法を考えちゃうネタだ。(12/08)
連作短編の味を持つ長編。格の仕掛けがちょっと無理があるようなないような。珍しくあまり女の子が活躍しなかったような? 西澤ミステリを読んでいると難読漢字がいろいろ読めるようになるような気がする、最大の一冊。(12/11)
すいません、よくわかりません。え?って感じ。最後の一行がホントなら、それまでの描写はかなり無理がないだろうか。他にもこの仕掛けの本は読んだけど、少なくともそう打ち明けられて「ちくしょう、先入観にやられたぜ!」ってなぐらいこちらに非を認めさせるだけのどっちつかずの描写とか勘違いしたままだとどことなく変なところとかがないと。これは仕掛けの通りだと無理無理なところがいっぱい出てくる。ちょっと反則気味?(12/12)
うーやっぱり時代の流れを感じるなあ。クイーン(作家)はどちらかというと論理寄りだと思っていたけど、これに限って言えばホームズ寄りな印象。そうなるとやっぱり掛け合いをする相棒に欠ける弱さが出てくるかな? 親父さんの出番が少ないし。(12/14)
解決なしってことで、安楽椅子探偵のウォーミングアップとして読んでたりして。確かに練習にはばっちりという感じの小説だった。解決が隠されていることではなく、どうにでも解釈可能なところは次々捨てていく、もしくは作者の書いてあることに従って、確実無比なところだけに注目して推理すべしってあたりが。結構むつかしいよねー。(12/15)
神麻嗣子シリーズも読み始めました。超能力ありでも別にかまわないっすね。新本格なんてルールを定めてその中で解決するという話なんだから、そのルールが超能力でもいいわけだ、なるほど。探偵側の人格はとても気持ちがよいが容疑者側の人格はどうにも極端に醜さがデフォルメされててちょっとイヤになる。いかにも西澤ミステリ。(12/16)
神麻嗣子シリーズ。これは大きい仕掛けにすっかりやられた。でも、その仕掛けがわかれば、というか先入観を捨て去り「あり得なさそうで実は当然な人物」に的を絞れば、消去法で確実に犯人に辿り着けるという、とても正攻法なミステリ。なんかオフ会の話とかそういう枝葉末節が面白かった。ところでチャンネル繋がったままなんでしょうか。(12/17)
神麻嗣子シリーズ短編集。シリーズ全体に対する物語性の仕掛けがちらほらでてきた巻。登場人物達のこういう不思議な関係は好きです。でも相変わらず、犯人側は救いがないことが多い。淀みまくり。でも爽やかも同居。変なの。(12/18)
この最後の話でつじつま合うんだろうか。ちょっといらぬ心配。なんか奥さんに家事をしこまれているんだろうなーと察せられる短編とかありまして。それ自体はよいことの範疇だと思うけど、男性諸氏はこういう基本的な家事について、教わらないと考えるということをしないのだろうか、啓蒙といってもここからなのか、とちょっと不安になる。(12/19)
うわ真っ暗。西澤作品によく出てくる極端に病気な考え方をする人たちがてんこ盛り。この文体は多分実験的に行ったのでしょうね。でも警察小説を模すのはやっぱり本格には向かないのでは……。あんまり警察の捜査っぽくない。もっと科学捜査と証拠主義によってがちがちに捜査は進むのではなかろうか、と昨今の読者は考えてしまうのだった。(12/20)
すっかり騙された! 事件の方より死者の方だ。殺人事件の方を語るのにこの設定はあまり必要ないような気がするけど、この仕掛けを語りたくなった気持ちはよくわかる。それにしても、ある意味、語られない場合は友情とかまったく信じられないよな、西澤作品って。(12/21)
これはだいぶ読めた。ミステリとしての仕掛けも、物語としてのオチも。でも偶然要素が2つもあるのは新本格としてちょっと弱いのではないか。新本格で許されるのは、それから事件が導かれたとする偶然、もしくは蓋然性のない純然たる偶然1つ、ぐらいではなかろうか。彼と会ったこと、彼がそこにいたこと、この2つがもっとうまく理由があればなあ。(12/25)
そこはかとなくエヴァの匂いがする……。同一自分言い聞かせフレーズ三回繰り返しとか、年上の男勝りの女性が気になっちゃうとことか、最後の励ましとか。ここまでくると西澤作品のテーマは親子依存にあるというのがわかっているので、たぶん見なかったはずはないだろうから、影響を受けたというのはあり得る話だ。でも少年の最後の無我夢中の動き方はとてもあり得そうで人間くさくて好きです。(12/26)
ミスリーディングがいまいちうまくいってないような。なぜ気付かない!とずっと思っていました。すべての可能性を検討するという姿勢から、故意に隠されている可能性が見え見えで、ちょっと残念。しかし主人公老けすぎ〜。(12/29)
私はイヤです、こんな男。←結構これは女性軍の本音だと思うが。よっぽど信頼がないと、こういうオチにはならないのではないだろうか。その信頼の根拠が描写からだけだとわからないから、いっそう頭抱えてしまう。母娘の関係はおもしろくて好きだな。(12/30)
この話を読んでいたら、『依存』を当然の如く受け入れただろうな、きっと仕掛けもすぐにわかっただろうな、と思う、同工異曲の作品。でも『依存』にはタカチがいたけど、こちらにはいない。その現在の環境による人間の変化の差違を語るうえで、なかなか興味深い比較ができるかも。最後のつぶやきはホントですかな。(12/31)
さて、今年も終わりました。合計214冊読んだ。去年たてた目標達成。来年は240冊ですかな。一月20冊。多ければいいというものではないけれど、自分の読書の仕方から言って、ゆっくり読もうが早く読もうが得るところはそう変わらないので、数打つ方がいいでしょう。いちばん燃えたのは、ダントツで『火怨』。自分に蝦夷ブームを巻き起こした上に今年再読した唯一の本。これが突出してるので、後はイマイチ甲乙つける気がしません。
ところで、実は、数えてみたんです。買った本、267冊。仮にこの中の本だけを読んでるとして積読率20%。まあまあじゃないっすか? ちなみにマンガは163冊で、なんと、普通の本の方が100冊も多かったという、意外な結果。いつのまに逆転するようになったのだろう。ノンフィクション34839円、フィクション190388円、コミック97479円、しめて322706円。思ったより少ないような。でもやっぱり収入1ヶ月分よりも書籍代が多いってのは考えものかもしれない(^_^;。